23・9・2

 このところ暇があると夜寝る前にDVD一巻を見ている。今日はマレーネ・ディートリッヒ主演の「鎧なき騎士」を見た。原題も「Knight・without・armor」でそのまゝの訳である。ジャック・フェデーの監督でロバート・ドーナットなどの共演である。

 私が中学生の頃初めて横浜のオデオン座という当時船で来たハリウッド映画が日本で初めて上映される映画館で「間諜X27号」を見た時、黒いマスクからはみ出すように怪しく美しい顔が暫らく書は幻、夜は夢のように浮び上って、それ以来学生補導員の眼を盗んで映画館通いをするようになった。

 ディートリッヒはドイツはウーファーの映画「嘆きの天使」で一躍踊り出て、ハリウッドに移って以来、「モロッコ」、「間諜X二七号」、「上海特急」、「天使」などに主演したが、「鎧なき騎士」はロンドン・フイルムの作品である。

 百万ドルの保険をかけたという美しい脚が現れるなど当時横浜税関で厳しくカットされたという「鎧なき騎士」は昭和12年(1937年)の作で、戦前見ていなかったので、期待をもって見た。泡だらけのバスの中から彼女の裸が見られるという、今なら何の問題ない場面がちらっと見られる程度だが、ロシア革命の嵐をくぐり抜けるイギリス人スパイと夢に破れたロシア伯爵令嬢が生命と愛を賭けて危険又危険をくぐり抜ける決心の逃避行という筋立てあった。見たいと思っていた映画を70何年ぶりに見たわけである。

 今週は、ジャン・ギャバンの「我等の仲間」、リリアン・ハーヴェー、ウィリー・フリッチの「会議は踊る」を見て、昔懐しく幸せであった。会議は踊るの主題歌「たった一度」、「ウィーンと酒」は今でも覚えていて唱うことがある。