23・8・16

 大災害があったり、不況でGDPがマイナスだと言うのに円は高くなって、実に76円台だ。誰が予想したか、正に想定外ではないか。

 日本の経済が好調だというのではない、米国やヨーロッパがいろいろ問題を抱えているので、消去法で円が買われるのだという。言われてみればそうかな、とも思うが、必ずしも腑に落ちない。

 確かに円高は輸出産業のウエイトの高い日本経済にとって金の面で不利になる。原材料の多くを輸入に頼っている産業にとって原価が下がるメリットは充分に考えられるが、製品の売価は金額が多いだけに円高のデメリットは大きい。簡単な例え話をすると輸入原料30億が三割の円高で9億円得をするが、それの製品100億の三割30億がマイナスとなっては、差し引き21億円の損となるではないか。

 こんなアバウトな試算で申し訳ないが、筋は間違っていない、と思う。

 ところで、円高対策はまことに難しい。為替の協調介入をしても、一国でしたからといって限度は知れているし、又、そういつまでも介入を続ける訳にはゆかない。

 かつて、円高に苦しみ、オイルショックに悩んだ日本産業が徹底的な省エネの努力、企業の合理化、効率化によって乗り切ったように、この円高で日本産業が沈没しないように智力を盡すべきではないか、それこそ不没戦艦と呼ばれるに相応しい日本産業の明日を見てみたいものである。