23・8・17

 ジュリアン・デュヴィヴィ監督、マリー・ベル主演の戦前(黒白)の映画である。初めて観たのは大学生の頃、二度目に見たのは、戦後ソ連抑留中エラブガが収容所の映写室、そして今日三度目である。

 夫を亡くしたクリスティーヌ(マリー・ベル)は、昔の手帳を手に社交界にデビューの夜にワルツのお相手をしてくれた男たちの20年後の今の姿を訪ね歩くが、今は昔の夢ならず、傷心の旅となるという物語である。

 収容所で之を観たのは管理局の職員たちの観賞会にもぐり込めたからであって、その時の感激は身が震えるようだったことを今も思い出す。それにしても、マリー・ベルの美しさ、ルイ・ジューヴェ、フランソワーズ・ロゼー、アリ・ボール、ピエール・ブランシアールなどの名優を集めたフィルムはえ難い名作である。これをしも眼福と言うのであろうか。