23・7・11

 久しぶりに水上勉さんの作品を読む。短篇で舞台はいつもの京都や若狭だが、実にしっとりとした味わいがあって良い。彼とは同年で同じ成城に住んで親しくしていたので、亡くなったのが惜しまれてならない。軽井沢から御代田に移って山の中で骨壷を焼いていた彼の心境を思い、亡くなって数日後家を訪れた私はしみじみとひとり空しさを覚えたことを思い出す。