23・7・3

 72日付の東京新聞に次の記事が出ていた。

 「農林水産省は1日、東京穀物商品買取所と関西商品取引所が申請していたコメ先物取引の試験上場を認可した。2年間の試験期間中に市場の機能や価格の動きなどを検証する。江戸時代の1730年大阪・堂島で始まり、戦時の経済統制が実施されるまで約200年続いたコメの先物取引が1939年以来、72年ぶりに復活する。」

 米の先物取引を復活することについては、当然替否両論がある。JA全中(全国農業協同組合中央会)は投機資金によって価格の乱高下を招きかねないとして反対し、取引への不参加を表明している。

 およそ物資の配給は初めは消費者の生活安定のためであるが、終わりは生産者の保護となると言われている。戦時中に始まった米麦の配給も正に然り、そのとおりの経路を辿って来ている。

 米の配給制度の見直しから昭和40年代半頃その米の流通の自由化が具体的にされるようになって来て、取り敢えず農協単位での取引きを自由化する、いわゆる米の自主流通の制度が発足したが、他作物への転用による損失を補償することが条件となっていた。

 その後、自由化がさらに進捗されるようになり、今や事実上米の取引きは完全に自由化されたが、他の商品と異なり、先物取引市場は認められていなかった。

 米の公正な価格指漂や価格変動リスクを回避する手段を提供し、多くの方々のニーズに応えることができるメリットがあるので、米の先物取引きも早急に実現されるように望みたい。

 戦前いわゆる堂島の米相場によって米の品質格差が明示されるようになり、米の自由取引きを通じて米の価格の調節、品質の向上などが実現されるようになった歴史が思い出される。

 農家の所得補償制度との関連も問題であろうが、ともあれ農政の一段の前進を期待いたしたい。