23.6.4

 六月四日(土)高知の牧野植物園でオランダ・ディが催されて御案内をいただいたので出席をした。家内がこの植物園の理事をしているところからであったが、駐日オランダ大使、中谷衆議院議員、高知県知事などが出席した。様々なユリなどすばらしい花の美しさ、とくに土地のサハチ調理にちなんでの花のサハチの盛り合わせの美しさはすばらしいものであった。

 牧野文庫も拝見した。四万五千冊という博士が一生かけて集めた資料は眼を見張らせるが、とくに解体新書の翻訳本も初めて原本(木版本)を見て、菊池寛の同名の小説を思い出して、興味深いものであった。博士がねずみの毛三本を合わせて作った本で書いたと言う植物図は本当によくこんな細かいものまで自ら筆をとったものだと息をのむ思い出があった。詳細な図面のゲラに博士が何十ヶ所も修正を入れていたのに呆れるほどで、印刷屋が先生の物の印刷は嫌だと言ったと言うのもわかる気がした。

 日本とオランダとは四百年にわたる友好関係がある。ましてや鎖国の間もオランダだけに出島での接觸が公然と許されていただけにシーボルトという極めて熱心な学者の日本における植物その他の資料の蒐集が可能であったし、そのために又日本に関する貴重な資料がオランダのライデン博物館などに在庫となって保存されたのである。

 オランダは海面以下の低地が少なくなく、かつて私は干拓堤防などオランダの干拓事業を視察したことを思い出したが、数キロも直線で続く巨大な堤防と水を汲むための風車の姿の追憶は、この度の東北大震災・津浪に繋がったが、オランダ大使もそのことに言及して、ツナミは恐い、ここは日本語であった