23・5・26

 逢坂剛の短編集。初めてこの作者のものを読む。もっとも裏書には平成五51018日購入と記してある。長いこと棚で眠っていた本の一冊である。

 作者のことは全く知らない。書評で買ったのでもないようだ。ふと本屋で手にして買ったものか。

 いずれにしても、かなり手なれた作家である。昔の作家と違うところは音楽や車に詳しいことである。会話もうまい。ただ何となく似た風であって、すんなり筋が溶け込んで来るわりには、印象に残らない。何か物の香を嗅いたような感じが残るだけなのだ。どうしてか。深みがないと言ってしまえば、それだけだが。(講談社)