23.4.23

 今回津浪の押し寄せた三陸海岸のうち、大船渡市三陸町綾里の白浜部落は昭和八年の三陸津浪を機に部落を海岸から高台に再建した。八年の津浪では住民二一一人のうち六二人が死亡、家屋はほぼ壊滅だったので、再発を避けた決断の賜物であった。

 今回津浪は標高二十三メートルまで駆け上がったが、約二〇〇人が住む六二戸の住宅は無傷で、犠牲者も出なかったという。

 私が、昭和三十五年のチリ津浪の一ヶ月後、三陸海岸を視察した時、八年の災害に懲りて、海外の道路を高い所に上げ、その道路から下には家を作らないようにとの申合わせをしたということを聞いたが、徹底していなかったのではないか。或いは、厳重な規制となっていなかったのではないか。

 応急仮説住宅はまあいいとして、これからは高台で再建することを制度としてキチッと決めて、実行すべきではないか。用地の取得、港との連絡等いろいろ解決すべき課題は多いと思うが、方針を確定すればできぬことではないと思うし、国も最大限に支援すべきだと思う。百年の大計が望ましい。