23.4.16

 この度の災害に際して公的資金の活用が特に要望されている。私は、政府関係金融機関の在り方などについて頭の切換えが必要なのではないか、と思っている。

 かつて金融機関についても民活を重視しなければならないという大方の考え方から、政府は例えば郵貯事業を抑え、その貯金などを財源とする財政投融資を縮小する方向を執って来た。さ、果してこの方向で良かったのだろうか、という点について反省が必要となっている。

 災害復旧、とくに原発事故対策のためには巨額の資金を必要とするが、政府は民間金融機関に対して融資を命じることはできないので、結局、日本政策金融公庫などの政府関係金融機関の融資枠の拡大、條件緩和などで対処せざるをえない。

 銀行は質屋ではないから、本来ならば担保があってもなくても、事業として設計の確実さ、資金計画の妥当性などを綿密公平に審査し、融資を行なうべきものと思っているが、実際には有望な企業であっても、実績が足りないとか、計算がラフであるとかと言って、担保を、担保が不足なら保証人を何人も立てるように要求するなどし、なかなか融資に応ぜず、ただみたいに低い金利で預った金は国債の購入など安全なものにふり向ける。それがいけないとは言わないし、それが一番経営の安定に連がるものかもしれないが、それでは金融機関としての使命を果しているとは言えないではないか、という疑問がある。

 政府系金融機関と雖ももちろん採算を無視していい訳はないので、適当な審査を必要とするが、最后は若干のリスクをおかしても、融資の実行を図るところに存在価値があるのではないか。

 郵政事業のいわば弱体化の方策はとり敢えず取り止めて、郵政事業の再編とも合わせて、財政投融資の拡充を図ることが、目下の災害復興を含めた資金需要に即応する道だと思うが、如何。