23.4.4

 田中総理の時に列島改造の推進が大きな課題となっていた。もてはやされて合言葉にまでなっていた。それが一転して悪物扱いになったりした。

 列島改造とは言うけれど、当時中心は新幹線と高速道路を国の隅々まで張り回らす事と言っていいであろう。私は、予算当局にいたが根本に賛成であった。ただ、財源が仲々ついていけなかったので、チビらざるをえなかった。それも五十年代に入ってからは一層テンポがのろくなって、なかなか完成しないどころか、当初の計画も大分縮められ、ところによっては全く見通しの立たないところも出て来た。

 しかし、今にして思う。やはりもっと早く実現に努力すべきではなかったか。少なくとも高速道路無料化のようなことに税金を注ぎこむようなバカな考えを実行すべきではない。

 列島改造で当初描いたどおりでなくても、新幹線や高速道路はもっと早く開通しておいた方がいいことは、今度の大災害に際して一時通行は困難となったが、新幹線や高速道路がいち早く復旧したことが、どんなに災害対策に役立ったか、を知れば、ますますその思いを深くすると思う。とにかく何につけても道は大事である。