23.4.3

 40年も昔、われわれ自民党の新人議員が北京を訪問し、要人の歓待を受け、市内のあちこちを見学したが、当時は一般の人々の収入は日本の30分の1ぐらいで、当時の日本なみの生活水準になるには20年かそこらはかかるのではないか、と言われていた。

今日テレビで重慶のいろいろな人の暮しの実態を見せていたが、日本との差も都市においては急速に縮まりつつあるように覚えた。

 中国はGDPにおいて遂に日本を抜いて世界第2位となったと言うが、人口は日本の少なくとも123倍はあるのだから、1人当りのGDPにしてみれば、やはり中国は10分の1以下である。その上、一部富裕層や官僚など収入の非常に高い階層がいて、貧富の格差が極めて大きいといわれているので、それを除外して考えれば、一般の人々のGDPはさらに下っていると言わざるをえない。

 戦前の日本は軍備において米英など外国に負けないようにと異常な努力をし、予算の半分を国防費に使う状態であり、戦後と比較すると社会保障や文教など民生の面への支出は圧倒的に少なかった。

 中国も国防費に予算の一割以上を支出しているというが、それは表額であって、実際は研究費や他の費目で実際上軍事費と見られるものも相当あると言われている。

 従って、社会保障、文教など民生面の水準はまだまだの状態にあると思われることを考えれば、一般の生活水準は決してまだ充分とは言えないと思う。

 しかし、同時に、中国では農作物その他日常の生活費はまだ安く、住居費も一般には日本より遙かに安いので、単なる数字をもって論ずる訳にはゆかないにしても、一般国民の生活水準はまだまだだと思う。