23・3・5


 年の税収総額によりも国債、つまり借金の額の方が多くても差支えないと思っている人は余りない。といって、それでは、そのいわば赤字を埋めるために消費税を引き上げる、というと賛成しない人が多い。アンケートをすれば、消費税の引上げもせざるをえない、という答をする人がかなりあっても、それでは実際に消費税の引上げを旗印にして選挙に望んだ人はまず落選すると思っていい。かの絶対安泰と言われていた山中貞則代議士ですら、落選したのも消費税の創設を税制調査会長としてリードしたせいであった、という。

 消費税を10%に引き上げることを政策に掲げている民主党の菅首相も、いざとなると何となく実施の時期をあいまいにしたがるのも、そのことの怖ろしさを感じているせいであろう。

 消費税の引上げなどはこの景気の悪いとき、デフレ対策が叫ばれている時に実施するということはない。インフレターゲットでも掲げて、景気を良くすることに全力を挙げ、その効果があれば、それを見てから実施に踏み切ればいいのではないか。

 もっとも、民主党内閣が消費税引上げを断行すると言うなら、それは大賛成である。というのも、自民党にとっては有難い仕合せの選挙となるに違いない、と思うからである。