面白いものである。かつて自民党の中で、派閥を解散すべしという意見が強かった。派閥の効用は、人事、資金、情報であると言われていたが、とくに人事については正に派閥単位で取引き(?)が行われていた。そもそも派閥と認められるには、もちろんある程度の議員数を抱えていなければならないが、同時に、副幹事長、総務副会長、政調副会長などを1名出す、又は出させるところが派閥と認められていた。そして、派閥の事務総長間の話し合いで、常任委員長、政務次官、政務官や政調の各種の部会、委員会、調査会などの長などが決められていた。

 そもそも与党となればこそ意味があったのである。例えば、税制調査会。私も会長をしたが、いわゆるインナーの他、副会長が30人ぐらいで、いずれも大臣経験者、幹事は20人ぐらいで当選4、5回の人達で構成していて、税制に関しては絶対的権威を持っていて、党税調の決定が即政府案であった。かつて、山中最高顧問が税調会長時代、政府税調を軽視しているのではないか、と新聞記者に質問された時、「いや、軽視はしていないよ、無視しているのだ」と答えた話は有名で、語り継がれているが、それ位の力を持っていた。

 それが野党となると、情けないことに税調で何を作っても陳情書の作成みたいなもので、それこそ与党から無視されてしまう。従って力も入らない。シーズンともなれば党本部は陳情者で溢れるばかりだったのに、今は閑古鳥が鳴くほどである。

 人事も大したことはない。盆暮金を配ってくれない。配ってくれても昔の何分の一である。情報もインターネットなどのお陰で有り余る程流れてくる。

 となると、派閥の効用は眼に見えて落ちて来ている。そこで、派閥はあっても、大した害もない、ということになる。

 自民党の各派閥も議員が激減したせいもあって、いずれも事務所を小さくしたり、職員を減らしたりしている。赤プリを壊すことになったせいだが、町村派も福田氏以来の長い伝統のある赤プリの事務所を引き払って他所に移ることになった。落日の面持ちである。

 派閥の力が弱くなったので、無理に解消することもない、という。おかしいが、もっともな考え方とも言える。