今年は地球温暖化など嘘と思われるくらいに日本海側を中心に積雪が続いている。山陰では国道に千台もの車が立ち往生したり、動かぬ列車の中に二昼夜も閉じ込められたり、そこかしこで悲鳴が上がっていた。異常な積雪で家が潰れたり、船が転覆したり、屋根の雪下ろしで埋まったり、停電に見舞われたり、雪害を嫌というほど味わされたところもある。
雪は邪魔物であり、除雪で思いがけない予算の支出を余儀なくされた市町村も多い。
しかし、雪のいい面もある。利雪という。スキーなどはその最たるものであって、雪に恵まれない南の国から雪を求めてお客が増えて来ている。
ニュージーランドやオーストラリアから雪を求めて北海道に別荘を建てる人が多くなったと聞いているが、近頃、減った日本人のスキー客の代りに中台韓からのスキーヤーを歓迎しているところが多くなった。
日本におけるスキーの発祥の地といわれる新潟県のスキー客は1992年度の1597万人をピークとして2009年度は498万人、実に三分の一以下に激減したという。
日台韓からスキー客が来てくれるのは実に有難いことであるので、旅館は通訳を用意したりして受入れ体制を整えているという。結構なことである。
年寄の冷や水というが、私は、60才にしてスキーを始めた。一家の中で私だけがのけものにされていて残念だったからである。スイスイ滑っている人を見ていると、スキーは楽なスポーツかと思っていたら、とんでもない、馴れない私にとっては重労働で、初日やっと滑り終えて服を脱いだら、ポッと湯気が立つくらいの汗をかいていた。1、2年で止めてしまったが、滑る時の爽快な気持ちは忘れられない。