22・12・3 

 この頃、「古典おもしろ語典」(大和出版・金田一春彦、芳賀綏)という一種の字典を枕元に置いて、時々開けてみては、楽しんでいる。

 この本は、言葉についてなかなか思いがけない語源を紹介しているので、飽きないで、ポチポチ読んでいる。

 「やぼ」の語源が面白かった。

 雅楽の楽器「シヨウ」(笙)は主要な楽器だが、笙の仕組みはタダゴトではない。笙は17本の管から成り、それぞれの管に(コツ)(イチ)()(オツ)・・・・()()毛)という、奇妙難解な名前がついている。それぞれの管の側面に小さなアナがあって、これを押さえて吹くと音が出る仕掛けだが、17本の中の2本、「也」と「亡」だけは、指で押さえても絶対に鳴らないように出来ている。いったい何ということだ。ガンコきわまる。ずいぶんもののわからぬ奴だ。というわけで、そこからもののわからぬことを「ああ、まるで、笙で言えば、ちょうどヤとボみたいなものですな」。「ハハハハ、早く言えば、ヤボですな」というのでヤボと言うようになったという。

 「野暮」という字も書くが、これはもちろんアテ字だという。

 以上は、田辺尚雄音楽博士の説だが、タイコ判、まちがいなしとまでは行きかねる、という。