ここ10年、15年のスパンで日本の経済状況の推移を眺めてみると、何と言っても大きく感じるのはGDPの伸びの鈍化、停滞とそこから当然ながら1人当り所得の停滞である。
私は、経済金融の動きに関心をもっているものの1人として、いろいろ考えてみてみるが、どうもこれといって明らかな原因はよくわからないが、中国、韓国など、とくに中国の経済の急成長、著しい円高などを、とくに中国で挙げてみることができるが、これといって極め手はないのではないか。それだけに対策も樹てようが難しいのである。
身の回りを感覚的にみても、景気が悪くて失業者が増え、月給も上がるどころか、下ったりするので、とにかく皆が金を使いたがらない。つまりケチくさくなったのである。ユニクロが売上げを伸ばしているのも1つの例であるが、着るものでも、食べるものでも何でも安い安いと人々は安いものを追い求めて行く。月給が上がらないし、ボーナスがカットされたりすれば、そうなって行くのは当り前である。
着るものは、古くなったって、来年は着れなくなるわけではないし、晝食の弁当だって安くなっている日替わり定食も止めてコンビニのおにぎりにする、タバコも減らす、できるだけ貯金に回すようにする、と自衛手段としてあらゆることを実行しようと思えば、物価が上がり、店の売上げが増える気遣いはなくなるのではないか。
官官接待は止めて久しく、官民のつき合いもなくなってくる。会社も接待費を使わなくなる。使っても昔のように贅沢な座敷や高級クラブなどは使わない。すべてがつつましくなってくる。その結果は地方の県庁所在地などの中小都市では名のある料亭などが到るところで潰れていることでも明らかになっている。そのこと自体はそう歎くことはないかもしれないが、要するに経済が全体として活気を喪ってしまったことは、何と言ってもいいことではない。
全国の各地であらゆる県や市町村が観光客を招致し、名産の宣伝をし、売上げを伸ばそうとしているが、いうなれば煎餅布団の引っぱり合いみたいなもので、誰かが力をつければ弱いところは布団から外れて風邪をひく、といったような現象になっている。要は、国全体として景気が回復する、良くなるというような力強い方策が何よりも必要なのである。
グローバル化の時代に日本だけが、突出して景気を良くしようと思っても無理であろうが、今は、そうではなくて、とくに日本が遅れていると思われるだけに、日本自体としての景気回復のための政策努力が要請されているのである。
22・10・25