「埋蔵金」といっていかにも巨額の金が人目につかないところに埋まっていて、今まで政府が怠慢なため放置されて来たように思われていることについては、いささかモノ言いをつけたいが、それはそれとして、今問題となって来たのは特別会計のいわゆる埋蔵金である。
一般会計の関係では、勢い込んで鳴物入りで取り組んだ割に大した金目のものが見つからなかったといって、今度は特別会計に取りかかることになった。
ところが始めて見ると、案に相違して埋蔵金として金を出させるどころか、巨額の埋蔵借金が表に出そうになって来た。
その最たるものは交付税及び譲与税配付金特別会計の33兆6千億円、国有林野事業特別会計の1兆9千億円、厚生年金特別会計の1兆5千億円といったところである。
さて、特別会計をなくすという話が他方にある。となると、これらの特別会計の債権債務は一般会計に引き継がれることになる。そうでなくても赤字で火の車の一般会計がこれら特別会計の埋蔵借金を受け取ってくれるのだろうか。
交付税特会の埋蔵借金の中味は分析を要するが、いずれにしても将来この特別の余裕金あるいは一般会計からの繰入金をもって返済することになっている筈である。それを一挙になくすには一般会計から繰り入れなければならないが、そのためにも一般会計はさらに赤字国債を増発しなければならなくなる。無論不可能なことはないが、果たして実行できるか、及至は実行する勇気を持てるか、である。
然し、考えてみれば、そんなことをする必要がそもそもあるかなのである。
特別会計は多い時は50本を越していた。それを遂次整理して来たが、元来財政法の第13条第2項に規定してある通り限られた場合に特別会計は設置しうることとなっているので、その必要がなくなれば、或いは必要性が少なくなれば整理して、要すれば一般会計に引き継ぐべきものなのである。それだから、ここで大事なのは、まず現段階でその特別会計は存続させる必要があるかどうかを充分に審査し、議論をして結論を出すことなのであって、埋蔵金のことばかりさもしい眼で探してみることはいかがなものか、と思う。
22・10・24