諸外国に比べてわが国の法人税が高いとして、これを引き下げる要請が経済界に強い。私もその実情を認識しているし、何らかの是正措置をとるべきものと思っている。

 この頃トヨタを初めてとして大規模な生産会社が次々に国内の生産拠点を中国など外国に移している。その流れは止まらない。もちろん、ロボット使用などによる従業員の生産技術の単純化が低い雇用賃金が相まって、企業が自己防衛のためにこの道を選択せざるをえない実情はわからないわけではない。それをただわが国の雇用事情等を理由にして企業の方針の転換を迫るわけにはいかないが、このまま手を拱いていていいという問題ではない。こんなことを放置していたら、ますますわが国の雇用事情は悪化して行くのではないか、と心配している。

 しかも、具体的な方策を何もとらずに、それらの企業の外国行きを止めることは無理ではないか、と思う。

 法人税の減税は、言われている5%程度の税引き下げでどの程度の効果を期待しうるか疑問なしとしないが、放っておくことは出来まい。

 といって法人税引き下げの財源(5%引き下げなら約1兆円)を短絡して、租税特別措置の廃止、又は、縮減によって捻出することは、経済界の強い反対があって、今までも何度となく言われながら実現しなかった。

 私もかつて自民党の税制調査会長として、再度方針を決定して実現に向かって努力をし、その一部を法改正を持ち込んで実施したが、不充分であったことを認めざるをえない。

 しかし、法人税の引き下げは是非実現したい課題であるから、ねぢれ現象下の国会にあって法案を成立させることは難しいとは思うが、ここは野党である自民党も手を貸して税法の改正が成立するように協力をすべきではないか、と思う。日本の経済の浮沈をかけた課題である。


22・10・17