池部さんが8日敗血症で亡くなったとテレビを見た知人から今(11日夕)電話が入って来た。大正7年の生まれで私の1つ上であるから92才になる筈である。
池部さんは私の家内、司葉子が映画に初めて出演した時の相手役である。「君死に給うことなかれ」というタイトル。それから数多く共演しているようであるが、私は、葉子と結婚して直接知り合うようになり、よくゴルフを一緒した。
その頃彼も私も、オフィシャル・ハンディが13であって、永久スクラッチでゆこうとなったが、握ったチョコレートでは五分、五分。ただ最後のラウンドとなったスリー・ハンドレッドでのプレイでは、私が大分負け、そのままになってしまった。
滅多に顔を合わさなかったが、そのチョコレートを返して貰おうといううちに彼が亡なってしまった。
身体のために良くないことかも知れなかったが、真夏のプレイでも彼は決して水を飲まず、せいぜいレモンを噛っているくらいであった。体形を維持するためだと笑っていたが、役者はそういう苦労をするものだな、と感心したことを思い出す。
映画俳優協会の会長もしていて、いつか映像保存センター設立推進議員連盟を発足させた時に議連の長となった私のところに協会会長として来られたのが最後となったのか、と思う。その時、もうゴルフもしていないような話であったので、お互いの年を感じた。
ともあれ一時代を画したいい俳優にもう会えない淋しさは覆うべくもない。
22・10・11