国民生活センターが10月1日設立40周年を迎えたという。昭和45年、私が経済企画庁官房長として大蔵省から出向していた時に、このセンターの設立を実質上担当したものとしていささか感慨深いものがある。
悪質商法や製品事故による消費者被害を防止しようと情報発信や商品テストなどを行って来た。
私は、国民生活に関するあらゆる苦情を処理する機関としての役割りを意図していて、電話も110番みたいに「229」(不服・ふふく)番を設定し、ここへ電話をすれば、どんな質問や注文にも答え、各省庁などとも連絡をとって立ちどころに適切な回答をし、処理を行うことができるようにと考えていた。
その後、経済企画庁長官に就任したので、機能のテコ入れを図ったが、充分とはいかなかった。
各省庁の行政がテーゼであるとすれば、国民生活センターの役割りはアンティ・テーゼと思っている。それだけに各省庁から見れば眼の上のたんこぶ的な、それ程の力がなくても目障りな存在と見られている。
昨年消費者庁が発足した時、私は歓迎の意を表したが、この役所も国民生活センターの目指すところをさらに強力におし進める機能を果すものと期待をしている。しかし、元来各省庁からは好かれないこの消費者庁が力をつけて行くにはいろいろ陰に陽に抵抗があるだろうことはわかるが、それだけに首相などからも力強いバックアップが必要ではないか、と思っている。
ただ、商品テストなどは国民生活センターが自ら施設において実施することは止めて充分な経費を負担して委託したらいいと思う。多種多様な商品のテストを臨機応変に実施しようと思えば、自らテスト機器を整備して実施することは至難であり、却って充分な目的を果すことができないと思われるからである。
22・10・10