武富士が更生法の手続きに入ることになった。これで銀行系でない大手貸金業はあらかたダメになった。

 その原因の主なものは利息制限法の越えるいわゆるグレーゾーンの金利が支払いが最高裁の判決によって否定されたことであって、過払い金利の返還請求となって経営を圧迫したのである。

 貸金業の金利は出資の受け入れ、預り金及び金利等の取締りに関する法律いわゆる出資法によって年29・2%まで認められている。利息制限法の金利(最高20%)を越える金利は借入時に借主の承諾があれば差支えないことになっている。

 ただ、それについて借主の承諾を明らかに立証することができないために最高裁の判決によって否定されることになったのである。それが恰も一率に利息制限法の金利を越える違法の金利と誤解されるようになったのは甚だ遺憾である。

 貸金業の金利が高過ぎるというので、40・004%の金利を下げるようということになったが、当時、自民党にあって自民、公明、保守党のプロジェクトチームの座長をしていた私が三党の意見を取り纏め、30%をギリギリ割る29・2%を最高限度と定めたのである。日歩8銭という計算であった。

 その金利は、カードローンを含め、あらゆる貸金業の経営が大体成り立って行く限度と見られたのである。

 その後の法律改正によって、利息制限法の金利を越える金利は凡て認められなくなり、一挙に過払い金利の返還が始まったのである。又、貸付額の合計金額が収入の3分の1を越えないように定められた。

 私は、29・2%の金利は逐次引き下げられるべきものと思っていたが、一挙に利息制限法の金利まで引き下げることにすれば、貸金業の経営が困難となり、貸出を抑えるようになる、となると、一時的に急場の資金を必要とする者は嫌でもヤミ金融に走らざるをえなくなって、却って世人一般が困ることになる懼れが大きい、として反対をしたが、通らなかったのである。

 果して、貸金業者の数は、聞くところによると往時の10分の1以下となって、心配していたことがおきているという。

 片や、大手の貸金業も過払い金の返還に追われて資金難に陥り、ついにパンクせざるをえなくなった。懼れていたことが現出したのである。29・2%の金利は決して低いとは言えぬ。しかし、一時的な資金に迫られている人にとっては、月2・5%以下の金利は高くない。不渡りを出したりしてはお終いだからである。

 大手貸金業が倒れることによる被害は決して少なくはない。私は、やはり、あのグレーゾーンをなくした法律改正は間違っていたと思っている。

 さて、どうしたものか。世の抵抗はあろうとも、もう一度貸金業の金利を見直すことが必要ではないか。他にいい方法があるだろうか。ないように思うが。