実態はよくわからないが過日ゼネコン・フジタの中国駐在員4人が軍事管理区域内でビデオを撮ったとして逮捕され、うち3人は釈放されたが、1人はまだ拘束されているという。どうも、尖閣諸島で不法に領海を犯し、又、保安庁の巡視船に体当たりで損傷を与えた中国漁船の船員を逮捕、1名を残して保釈したが、船長はなお拘束取調べをしていたことに対する中国側の報復的な措置と見られないこともない。
新聞の記事によると、軍事管理区域内であることの標識は見つからなかった、という。標識なしで、どうして禁止区域の事実がわかったのだろうか。中国側の措置は問答無用、というような臭いがある。
はしなくも、私は、戦前の日本政府の似たような行為を思い出した。私は、横浜に住んで、小、中学校とも市内に通っていたが、その頃三浦半島のどこか軍都横須賀に近い山中で写生したという生徒が、軍機法違反で捕まった、ということを新聞で知った。何を写生していたかは知らないが、それで国家の軍事機密を他国に流すような懼れがあるのだろうか、と不思議でならなかった。武器を持っている軍部は怖い存在であって、とくに5・15、2・26の事件以後は、政治家も軍部に1歩も2歩も道を譲る風潮が強くなったことは事実である。
戦後、こんなことはなくなった。もっとも写真などどんなにしても禁止しうるものではない。
中国のこの事件を知って、私は、今も機密国家の存在は怖いものだと思っている。司法制度はチャンとしているのだろうか。一党独裁の国は、多分裁判の判決に有形・無形の圧力を加えうるものではないだろうか。
22・10・5