民主党の代表選は菅の勝利に終った。私の予想どおりであった。というのは、衆参の現在のねじれ現象はなかなか解消されないとなると、今後通常国会において法案が成立し難くなる。となると、菅内閣は行き詰まって解散の危険性が大となる。そうなれば、個々の議員にとっては何よりも自分の選挙の当落が気になる。当り前である。となると、誰が党首の方が戦い易いか、となる。菅が素晴らしいとか、優れているとかではなくて、小沢が党首よりも戦い易い、ということになって、心ならずも菅に一票を投じた人もいると思う。それが議員の心理である。党首が誰かなんて関係ないよ、という議員もいるだろうが、この頃のように何となく世間の風で票が大量に動くような時代にあっては、その風が怖ろしいことを皆が知っている。

 さて、菅は小沢及び一派をどうするか、関心をもって眺めていた。まぁ2、3を除いてマスコミの予想と大きく狂っている人事はないが、幹事長に岡田がなったことで小沢派は態度を硬化させる方向に行くだろう。小沢が一族を引き連れて民主党を飛び出すようなことはあるまい。この環境のなかで飛び出すにはかなりの勇気がいるだろう。かつて渡辺美智雄が党を飛び出そうとした時のみじめさとは較べてはならないにしても、住み慣れた巣を離れるのは勇気のいるものである。

 ただ、われわれとして願わしいのは、今は党内でごちゃごちゃもめている時ではない以上、少なくとも党の公約した政策のいくつかを野党と妥協してもいいから、実現して欲しいことである。もっとも、私は、子ども手当てとか高校の無償化などは止めて貰いたい、そして何よりも景気対策を実現して貰いたいと思っている。

 赤字国債を出して金をバラまいても、銀行預金となり、その預金が、又、国債を買うとなれば、国民経済的には金が一巡にしただけで、残るのは政府の借金だけというのでは、一体全体何をしていたかわからないではないか。

 そんな気休めみたいな政策でこのデフレ状況を打開することにはならないではないか。

 今、何でも安けりゃいいという風潮があって、何だか果しなきデフレスパイラルに陥っているように見える。これでは売上げも増えない、所得も増えない、消費も増えない、ということになる。嫌な世の中だ。といって抛っておいていい、ということにはならない。

 やはり一番早く効果を現わすのは公共事業ではないか。するところがない、とは言わせぬ。コンクリートから人へというが、その人が參っているのだから、もう一度コンクリートを見直さなければなるまい。


                                  22・9・22