7月27日、来年度の概算要求基準を閣議で決定した。いろいろな方策が取沙汰されていたが、結局、各省一割削減で確保した財源を特別枠として成長戦略などの関連事業に重点的に配分することになった。

 各省予算一律一割削減を果たして強行できるのか。各省の予算の強力性は一様ではない。義務的経費で実績が出たら、抑えることができないものもあるし、そういう要素を無視して一律一割削減をやっては、随分いびつなものになる懼れが大である。

 民主党内閣は何かと言うと、財務省寄りなことと嫌がっているが、財務官僚の査定能力を今こそ活用すべきときではないか。彼等はどこをどうしたら削れるか知っているので、本気になったら充分に活用しうるのである。仕分けも結構であるが、あれとても対象選定に財務省がかかわっているというし、第一ああいう程度では、全体の一部がなでられているに過ぎないのではないか。

 もっとも、財政出動をデフレ対策として要望すべき時に、それこそ無暗に予算の圧縮を図ることは、およそ考え方としては逆行ではないか、と私は思っている。

 それから余計なことかもしれないが、この際つけ加えておくと、各省予算を一律一割削減などというと、省によって、義務的な経費を意図的に圧縮しておいて、その余裕枠を欲しい予算に転用しておき、予算執行途上において義務的経費の増加は予備費とか補正予算とかで尻拭きをして貰う、といった戦術を使うところも出てくるかも知れない。よく眼を光らせていないと、ずるいところが得をすることになりかねない。


                                   22・7・29