南アでのワールドカップの映像に世界中の多くの人の眼が吸いつけられている。戦前はサッカーにあれほどのサポーターが生まれるなど思いもよらないことであった。サッカーというよりアソシエイション・フットボール、略してア式蹴球と呼んでいた。ラクビー・フットボール、略してラ式蹴球に対するものであった。
見ようによっては長い時間をかけて一つのゴールも見られない0対0の試合など退屈でしかないと思われた時期もあった。中学校では運動の時間、サッカーもラクビーもあったが、今から思えば、まことに幼稚なもので、オフサイドすらよく飲み込めない程であった。
それが今日、日本国中にグランドが建造され、数十のプロチームが誕生している。
10年ぐらい前までは、このサッカーブームも何時まで続くだろうか、その中みな飽きてきてしまわないか、など言っていたが、どうして、この度のワールドカップで又火が煽られた感じになっている。
ボロくそに言われ、もうじき首か、とまでけなされた岡田監督もカメルーンとの一戦に1対0で勝っただけで名将と言われる。世の中勝てば官軍の厳しさを一番身にしみて感じているのは岡田監督その人ではないか。
日本の先の監督トルシエが次のオランダ戦はとても勝てる見込みはないので、いい選手は疲れさせないように温存をし、勝つかもしれない次のデンマーク戦に備えるべきだなと言っているのを聞いたが、私は、余計なことを言うなと舌打ちをした。強いものが必ず勝ち、弱いものが必ず負けるなら、そもそも試合などやる意味はない。弱いチームがとんでもなく強いと言われるチームに勝ったりする。オウン・ゴールで勝を拾ったりするから、試合から眼が離せず、面白いのではないか。
だから、私は、オランダ戦にも選手を惜しまないで、ベストの布陣で臨むべきだと思っている。間違って勝ったら奇跡、予想どおり負けたら当たり前と思って、どちらに転ぶか、楽しんで観戦しようではないか。
22・6・18