国際捕鯨委員会(IWC)の年次総会が21~25日、モロッコのアガディールで開かれる。今回は長年反目が続いていた捕鯨推進派と反捕鯨派の対立に終止符を打つ新しい合意案が議長から示されている。果して議長案に基づく合意が形成されるか、どうかは予断を許さないが、日本にとっては悲願とする日本沿岸での商業捕鯨再開が認められる一方、南極海での捕鯨縮小を迫られるような合意案の内容だけに、会議の成り行きに深い関心を持っている。

 日本は従来南極海などで調査捕鯨を実施していたが、これに対してもシー・シェパードなどの妨害行為が行われることは論外としても、IWCと加盟国からその縮小ないし廃止が求められていた。

 私は、先年、会長をしている全国まき網協会のメンバー諸士とともに日本に多量のサバを輸出しているノルウェーを訪ねた。

 ベルゲンの漁業庁の幹部から日本もノルウェーのように商業捕鯨を何故再開しないのか、再開したらよいではないかと強く言われた。

 鯨が餌として食べるいわしなどの魚類の数量は人が食料として捕獲している魚数の数量よりも遥かに大きく、又、捕鯨に反対する根拠は鯨の減少のような論理的なものではなく、多分に感情的、情緒的なものであると言われている。現に鯨の頭数は減っていないと見られている。

 鯨を捕獲することが残酷な行為なら、スペインの闘牛などを何と見るのかと言いたい。公衆の面前で牛に何本もの槍をつきさして、いわばいじめ殺しをしているのを熱狂して眺める人達は、捕鯨が可愛そうだなと言えた義理でもない、と私はかねがね思っていた。

 人間が生きるために牛豚鳥、何でも殺して食べているではないか。ひとつ鯨だけはダメだとする論議は全くわからない。

 いすれにしても、少し頭を冷しつつ、捕鯨の問題に合理的な結着がつけることをIWCの総会に期待したい。


                                   22・6・22