1980年以来文科省は医学部の新設を認めていなかったが、医師不足が深刻さを増す中、養成する医師の数を増やすため、この6月18日医学部新設を認めるよう本格的に検討する方針を決めたという。

 民主党の今回の参議院選のマニフェストで地域の医師不足解消に向けて、医師を1・5倍に増やすと目標を明記し、医学部の学生増員などを掲げている。

 医学部の学生定員については、かつて24年前医師の数が多過ぎるとして一率10%を削減する方針を決めたが、完全に実行したのは国立大学だけであって、私立大学は全然削減しないところもあった。経営上の理由などを挙げていた。

 私は、当時、これに異議を唱えていた。というのは、無医村の解消も行われていない時に、医師の数を減少させることとなる方針はおかしいではないか。もし、假に確かな需給の見通しの上で、学生定員を削減するというなら、国公私立同率で強制的に実施すべきであって、国立大学のみ10%削減することとすれば、最も学費負担の少ないところの定数が減ることになり、負担能力のある医師が保護者である者以外医学部に進学し難くなるのではないか、という理由であった。

 さて、ここへ来て、今度は医師不足を理由に医学部新設も含めて学生定員の増加だという。猫の目に等しい変わりようではないか。

私は、何て見通しの悪いことをするのかと憤慨したが、誰も責任をとった人はいなかったようだ。 

この際、せめて10年先を見通して、しっかりした医師の需給状況のもとに医学部の学生定員を決めて貰いたいと思う。