「のぞみ」が出来て東京・大阪の時間的距離が一層縮まった。以前はやはり3時間は長いので、羽田、伊丹の空路をよく使っていた。ところが、航空機に乗るには、出発時刻の30分前に羽田に着いていなければならない。それに飛んでいる時間を加え、伊丹から大阪都心までの時間がある。それで、両者を比較するとせいぜい30分ぐらいしか、空路の方が早いに過ぎない。空を飛ぶ航空機は時に墜ちる。新幹線は未だかつて大きな事故はない

料金のこともあるが、つい新幹線を利用したくなる。京都へ行くとなると、もう新幹線にはかなわない。伊丹から京都へタクシーを走らせると、随分高くつく。

 さて、今度はリニア・モーターカーときた。時速500キロで東京・名古屋の間を突っ走れば、もう空路は勝負にならない。新幹線が出来て東京・名古屋の便がなくなったのと同様、今度は新幹線に乗る人が減るだろう。

 世界のあちこちの国で高速鉄道の建設がスタートしている。航空機で鉄道がダメになった昔の逆を行くことになった。新幹線の技術の輸出を政府も協力態勢にあるという。当たり前である。従来、日本は、この点、何か言われはしないか、と妙に慎重で、こういうプロジェクトの売り込みに知らん顔をしていた。ようやく、腰を上げているようだが、特定の会社や何かに利益となることの心配は国益目的で救われるから、遠慮なく応援して欲しい。

 理由はあるにしろ、およそいい加減な航空機の発着時刻に比べれば、日本の鉄道の発着時刻の正確さは、世界に冠たるものと言われている。その運行技術も装置と一緒に輸出したいものである。


                                   22・6・9