26日、日銀の白川総裁は「短期的な物価の動きだけにくぎ付けになると、かえって経済の変動を大きくする」と言って、政府・与党内にくすぶるインフレ目標導入論をけん制した。
私は、かつて自民党の金融制度調査会長をしている時、当時の日銀速水総裁にインフレ目標導入を働きかけたら、一旦はずみがついて物価が上り出したら、止める手段がなくなるというような理由で、反対をした。私は、物価を上げることの方が難しく、抑えることの方が易しいと思っている。
こう景気対策として打つ手が行き詰っている時にこそインフレ目標の設定は必要ではないか。方法はなくもない。要は、皆がその気になるか、どうかにかかっている。
例えば、銀行に言わせると貸したいし、お金はあるのに借りに来ないからと言うようなことを言う。とんでもない。現実は貸してやってもいいと思うのに、何だかんだと理屈をつけて貸さないのである。貸すとなれば、担保、担保と言い、直ぐ連帯保証人を立てろだ。貸す気がないとしか思えない。金融庁の検査の在り方も問題である。再三言う。銀行は質屋ではない。担保がなくても、良い内容のプロジェクトにしっかりした人間がついていたらどんどん貸したらいい。しくじったら、国や地方も税収減をかぶることになるが、それくらい止むを得ないと腹をくくらなければなるまい。毎年堅実に黒を出しているが、地価の下落で担保が薄くなると早速返せだ、何だとムリなことを言う。金融庁の検査がそれに拍車をかける。金融庁も銀行の箸の上げ下しに一々口をさしはさまないで、銀行に委せておいたらいい。そのかわり、大きくしくじったら、本当に厳しく締め上げたらいい。
庶民への金融も貸金業法の改正で、手ひどい締めつけに遭っている。私が設定した日歩8銭年29・2%の金利は高いと言っても月割りにすれば2%ちょっと。ちょっとで月末も越えられるという個人も、これではヤミ金に走らざるをえなくなって、もっと地獄の苦しみを味わいかねない。徒らに一部の弁護士を儲けさせる結果となっている既住の借金の支払利子の返還請求が健全な貸金業者も殺しかねなくなっている。貸金業法は再び改正すべきである。これは貸金業者のために言っているわけではない。本当に困って一時の金の欲しい人のためにも、味方として言っているのである。
22・5・28