古い話だが、昭和十年代、旧制高校に入って間もなく芝居好きの江戸っ子の友人に誘われて、80銭の一幕見で生まれて初めて歌舞伎を観た。幸四郎の弁慶、菊五郎の義経、羽左衛門の富樫という組合せで、新しい世界に眼が覚めるような思いがしたのが芝居にのめり込むようになったきっかけである
この歌舞伎座が建て替えられ、その小屋がこの度まだ改築されることになって、4月観に行ったが、名残惜しい思いであった。
新橋落成まで新格演舞場で歌舞伎をやると聞く。戦前は前進座などが上演していたし、朝から夜中まで伊勢音頭などを人形を観た覚えがある。久しいかな。いずれにしても歌舞伎座の新館が楽しみである。
22・5・5