十二月二十六日の新聞で、政府は本保観光庁長官を退任させ、後任にJリーグ大分トリニータ運営会社前社長の溝畑宏氏を充てる人事を承認したと知った。

 前原国交相は記者会見で本保長官の仕事ぶりに何ら瑕疵があったわけではないと強調する一方、「観光行政は来年、有言実行の年。海外からの観光客を増やして数字として表さないといけない」と言っている。本保氏が長官に任命されたのは去年の十月。従って一年とちょっとに過ぎない。その短い期間で手腕を云々されるのも不本意であろうし、前原国交相も本人に何ら瑕疵があったわけでもないと言っているとすれば、何故更迭をしなければならないのか。

 今は官から民へというのが流れであって、本保氏も旧運輸省出身であるから、いわゆる官である。官は何でも悪い見本のように言われているのは、官出身の私としても納得できず、不愉快であるが、ところで次の長官となる溝畑氏も出は自治省(現総務省)であるから、れっきとした官であるから、官から民とも言えない。

 強いて理由ずければ、本保氏は自民党政府から任命されたものであるから、この際替って貰うと、というのなら、それはおかしいと思うと同時に、ポリティカル・アポインティというのならそれも仕方がない、と思うのである。

 私は、例えば米国のように政権交替と同時に各省庁のトップ、幹部クラスがポリティカル・アポインティとして交替させられることは決していいことだとは思わない。しかし、あれ程ハッキリしているのなら、一つの政策として認めることができると思うが、わが国の民主党政府はそこは明らかではない。本当にそうしたいのなら、それこそマニフェストで正々堂々と網領に掲げて実行したらどうか。何だかわからない弁解をしつつ、こういうことをするのはおかしいと言わざるをえない。

                                  21・12・30