農業共済事業について、仕分けでは、人件費をはじめ事務費負担金(要求四五六億円)と掛け金国庫負担金(五四四億円)の予算額を三分の一程度に減らすことを求められたが、運営に支障となる恐れもあるため、政府は事務費負担金を三七億円減の四一九億円、掛け金国庫負担金は四〇億円減の五〇四億円を上限に予算計上を認めることにしたという。

 私は、農業共済については、違う意見を持っている。民主党が農業共済事業を仕分けの対象としたのは一つの卓見である。ただ、結局国の負担金額を削っただけ、というのでは制度の改革に値しないと思う。

 農業共済は民間の損害保険と同じように支払い保険金に比して事務費が過大である。農家が受け取る保険金よりも毎年度の事務費の方が大きい。

 私は、抜本的な改革としては、共済制度を止めて、災害が起きた時に現在の保険金相当額を国が直接支給するように改めた方がいいと思っている。勿論、被害金額を確定するために経費はかかるが、それは農協などに委託すればよい。もちろん委託費は必要となるが、農家から保険料を微収する各県ごとの機構の維持費より遙かに安くて済むと思う。

 農畜産物について販売価格と生産費との差額を直接補償するような制度まで設けようというなら、丁度いい機会である。現行農業共済制度を廃止し、災害による農産物の被害額の直接補償制度を導入したらいいと思う。

 ただ一つ問題は、現在農業共済制度にかかわっている職員の失業対策をどうするかであるが、少し時間をかけて転職させるしかないと思う。