民主党は高速道の無料化をマニフェストに掲げていたので、政権をとった現在、これを実現することとし、差当り北海道及び九州から実施すると言っている。

国交省は総選挙前までは高速無料化について一貫して反対していたが、ここに到って高速道を無料化にした場合の経済効果について、二年前に試算を行っていたことを明らかにした。

それによると、高速道の渋滞増加など年間マイナス二・一兆円となるが、一般道が車が流れやすくなって四・八兆円のプラスとなり、差し引き二・七兆円の効果が生じるとしている。

 しかし、高速道の通行量が増え、鉄道やバス利用からマイカーに切り替えることによるCO2の増加量などは試算していない。

 鳩山首相は二十二日の国連気候変動首脳総会(気候変動サミット)で日本の温暖化ガスの中期目標について二〇二〇年までに一九九〇年比でいえば二五%の削減を目指すことを表明した。

 これに対してわが国の経済活動に大きな影響を与えるとして経済界から反対の声が上っているが、そういった際に、この政策の方向とはまさに逆にCO2発生の増加をような制度を始めることには大いに疑問がある。

 高速道の料金は、いわば急行料金として利用者負担が妥当であるというのが、従来の共通認識であり、いわば常識となっている。それなのに、高速無料化による収入の減は一般納税者の負担となるという。この民主党の高速無料化の政策は、果して一般国民の納得をえられるか甚だ疑問である。

 それに、高速無料化となれば、今後、高速道の建設は現在のように借入れによって賄うことはできなくなり、凡て国費によることになるだろう。とすれば、今までのようなテンポで建設をすすめられるか、どうか疑問であり、又、それを進めるとなれば、とりあえず建設国債を財源とする、つまり借金で賄うことになる。結局、形は変っても今と同じことにならないか。しかも、その借金の償還は、高速道の料金収入ではなく、一般国民からの税収となる。それでいいのだろうか。

 又、現在高速道の建設に際しっては、建設コストと効果(ベネフィット)とのバランスが当然検討の要因となっていたが、およそ、そういう面での考慮は要らなくなって、高速道を建設せよという地元の要請をチェックする手だてがなくなっているのではないか。

 いずれにしても、高速道無料化は余りにも問題が多すぎて、私は、反対せざるをえない。