新政権の予算編成に関して、大きな骨格部分は国家戦略局(現在は室)、詳細に詰めていくところは財務大臣、互いの意見が合わなくて激しく議論するところがあってもいい、と鳩山首相は語ったという。
さて、管国家戦略相は、戦略的な観点に関することにはかかわりたい、と述べているが、藤井財務相は、予算編成権は財務省にある、財政の正常化の長期目標を立てることが国家戦略局の大きな仕事だと反論している(以上、九月二十四日、読売新聞・朝による)。
さて、実際にどうなるのか、が見ものである。
ここで、自民党の初めての内閣として、昭和三十年鳩山内閣が誕生した時、予算編成権を内閣に、ということで大蔵省主計局を内閣に移管するという案が出されて、大問題となったが、結局大蔵省の強い反対もあって取り止めとなったことを思い出す。鳩山一郎首相の孫である鳩山由紀夫首相が、又似たような考え方を打ち出して来たのに不思議な因縁を感じる。もっとも、今回の構想自体が鳩山氏の発想か、どうかは確かめていない。なお、付言すれば、鳩山一郎首相の長男・由紀夫首相の父・威一郎氏は大蔵省の主計局育ちで主計局長、事務次官となって政界に転出、参議院議員となり外務大臣を務めた。
私は、財務省における予算編成権自体が各般の財政需要を見据え、財政収入を確保しつつ運用されるべきものであり、当然戦略的な思考も必要不可欠なものであるから、重要な政策決定の二元化を招く怖れの大きい国家戦略局(室)の設置は無用である、と思っている。