このところ太平洋側は地震と台風のダブル・パンチを食った。東名高速も不通箇所が出来て、夜通しの復旧工事が行われている。少々の天災地変ではビクともしないような道路、鉄道などの公共施設の整備ができないのか、という疑問が出される。もっともである。

 これは今から丁度五十年前、昭和三十四年の伊勢湾台風、翌年のチリ津波、その翌年の第二室戸台風と三年続けて大災害に遭ったことがある。その復旧のときも、例えば鍋田干拓の堤防の高さを何メートルにするか、が大議論となった。一メートル違っても工事費は大へんな差である。結局六メーター五〇の堤防で復旧することにした。百年災害か、二百年災害かの争いとなったが、百年災害にとどめたのである。いかなる台風、地震が来ようとも日本国中をビクともしないように鎧で固めるようにすることは、とてもムリである。いくら国力があっても出来る話ではない。

 そこで災害予防に重点的に力を注ぐと同時に。被災後の対策が大事となってくる。

 十年前に私、原田、谷の三人の議員が中心となって自然災害の被災者に対する救災対策として生活整備など一戸当り百万円、住宅復旧に戸当り三百万円を国から支給する法案を成立させた、画期的な制度と自讃をしているが、これでもまだ充分とは言えない。自然災害の被災者は何等自分の責任はないのであるから、国で何とか対策を考えでやらなければならない。国の一種の無過失責任である。

 これとの関連で今思うのは、先般未ダム建設の反対運動が、処によっては知事を先頭に立てて行われたりしたが、利水の面では議論が残されているように思うが、治水に関しては、果して簡単にムダと言えるか、どうか。災害が起ってみて、やはりあのダムは要るのだった、などという歎きを起こすことのないよう、もう一度検討すべきではないか、と思う。