民主党の鳩山代表は、二日、衆議院選マニフェストに設置を盛り込んだ首相直属の「国家戦略局」の概要を固めた。同局のトップは閣僚とし、党政調会長に兼任させるという。

 ここで何となくも思い出すのは、今から半世紀も前、鳩山代表の祖父鳩山一郎氏が自由党主党の初代総裁として首相の座についた時、大蔵省の予算編成権を内閣に移管させようと試みて失敗したことである。

 具体的には大蔵省の主計局を内閣に移管する構想であって、米国の予算局が大統領府の中に置かれていることが参考とされたと思う。ただ、日本は議院内閣制であって大統領制ではないし、又、主計局の予算編成事務は大蔵省内で主税局の税制、理財局の財政融資計画などと一体となって運用する必要があることなどを理由とする。大蔵大臣の強い反対に遭い、取り止めることにしたのである。

 その後も、こういうような考え方のもとに予算編成権の内閣移管の問題は何回となく採り上げられたが、いずれも実現をみるに到らなかった。

 小泉内閣の時、経済財政諮問会議なるものが設置されて、財政運営についても基本方針を決定する任務を持つようになり、当初からかなり予算編成の方針について影響を与えたと言われているが、このところは何となく影が薄くなり、存在威もなくなっていた。

 私は、現行制度を変更する必要を認めない、というより変更すべきではないと思っている。

 財政運営の大筋について事前的な制度として経済財政諮問会議のような場で、民間有議者の意見を採り入れることは賛成であるが、具体的な予算編成方針の策定は財務大臣に委せて置き、国庫大臣たる財務大臣と各大臣との間に意見の衝突などあった場合は、裁定権を首相が持つようにすることがいいと思う。

 いずれにしても、この種の問題のために余りに勢力を燃焼させることは意味がないのである。