昨年九月、あれだけの支持を集めて総裁に当選した麻生総裁・総理を、やれ総裁選の前倒しとか何とか言って引きずり下ろそうという運動があって、恰も自民党が分裂状態にあるかのごとき、いや、あるのかも知れないが状態が、やはり今度の都議選での自民党の惨敗に繋がった、と見られている。民主党の候補が格別に優れていたわけでもないのに、ただ自民党ではなく民主党であるというだけの理由で続々とトップ当選をするような事態は、確かに異常だと思うが、自民党内のいわばゴタゴタに呆れたり、嫌気がさした都民の走った行動と受けとめなければならない。

 公明党候補二十三名の全員当選は与党逆風の中見事と評さざるをえないが、これとても厚い公明党支持層の固い約束が底にあるからである。

 八月三十日投開票で総選挙の日程が決ったからには、今更、表紙を替えるの、どうのと言っている暇はないし、今、又、ここでゴタゴタしては選挙民に党内不一致を覚らせるだけであって、百害あっても一利もない、と心得るべきではないか。

 幸い十四日の衆議院本会議での麻生内閣不信任決議案には自民党から賛成票を投じた議員は一人もいなかった。よし、裏ではどう考えようとも、少なくとも表は一本化し、総裁問題などでごたごた言わずに総選挙に向う体制を作らなければ、それこそ自公で過半数を割るような情ない結果となる懼れが大である。自民党員の一人として、心からそのような事態に陥ることがないよう祈っている。(21・7・21)