米国に金融版消費者庁が設置されることになったと報じられている(米政府・六月十六日)。複雑な金融商品から消費者を守るためという。結構なことであるが、これに関連して思うことがある。

 というのは、貸金業の金利がいわゆるグレーゾーンをなくすという理由で二九・二パーセントから一五~二〇%の金利に引き下げられようとした際、私は、一挙にそこまで金利を引き下げることは消費者金融を一挙に縮めることになり、貸金業の営業が困難になるばかりではなく、貸金業の貸出しの選択がきつくなり、却って借り手が甚だ困る状態になるのではないか、ということを指摘しておいた。

 どうも、この改正はいささか行き過ぎではないか、と今でも思う。グレーゾーン分の金利は過払いとして返還訴訟が大にぎわいのようであって、一部の弁護士のドル箱になっているようなのは、甚だ寒心に耐えない。

 普通の銀行がなかなか金を貸さない一般消費者に対して貸金業がリスクを負担しつつ融資を行い、銀行はリスクを回避して貸金業に融資をする形は決して不自然なものではないし、銀行の貸金業に対する貸付けを無理に制限するようなことにならないように願いたい。

(2009.6.17)