政府が六月九日公表した財政健全化に向けた中長期試算では、二〇二〇年代初めにGDPに対する国・地方の債務残高の割合を安定的に引き下げるためには、消費税率を一二%に引き上げなければならないことになっている。

 与謝野経済財政相は、これは飽くまでも数字上の試算であるに過ぎないと強調している。

 試算であるにしても、こういう数字が発表されると一人歩きしないとも限らないので、充分なコメントをつけておかなければいけない。

 というのも、今後十年先の経済状勢など、いろいろの前提を置くにしても、確かなことはわかる筈はないので、徒らに国民を萎縮させるような発言は極力避けた方がいいと思うからである。

 折角、大幅な景気対策を実施しても気分的にそれに水をさすような施策の方針を同時に示す必要もないと思う。


(2009.6.10)