ドイツの捕虜団に「ノイエヴェルト」という雑誌と「ノイエツァイト」という新聞が発行されていたが、日本人収容所用の「日本新聞」と同じようにプロパガンダ記事しかない詰らないものであったが、ラジオの音楽はそれなりに楽しいものであった。

 確かにその収容所における一日も二度と繰り返される一日であるし、又、本当に何日ダモイできるかわからない身であってみれば、その一日一日を後悔のないように充実をして生きて行かなければならない、詰り、一日を生涯と思って過して行くべきだと思い、「一日生涯」の言葉が浮んで来たのである。

 顧りみれば色んなことがあったが、ともかくも今日まで無事に生きてこられて、週日は事務所に出勤して仕事をし、そして土日に時間さえ許せばゴルフも出来る健康状態であることを感謝している。


(2009.5.31)