静岡空港が六月四日開港した。来年三月に茨城空港がオープンすれば、国内の空港数は九九になり、一〇〇空港体制に近づく。

 しかし、地方空港はほとんどが赤字に苦しんでおり、航空会社の地方路線からの撤退が相次いでいる。新空港の整備はこれで一段落となるが、自治体などが空港をどう生かして行くかが一層問われる時代となった。

 地元の人の思惑は別として、果して静岡や茨城に空港を造る必要があるのだろうか、甚だ疑問である。経営責任を持つ地方団体が観光振興や企業誘致、産業基盤を目的として財政支援を強化している。

 例えば、静岡空港について県は異例の「搭乗率保証」を導入し、搭乗率が七〇%を下回った場合は、不足分の運賃収入(一席あたり一五八〇〇円)を補填するという破格の優遇策をとるという。假に今年度一〇%下回れば、県の支出は三億八千万円にもなる計算という。

 そもそも静岡空港も建設を促進している当時から景気が大きく変ってきたことも空港赤字の原因かとも思うが、それにしてもそもそも東京、名古屋の中間にあって、新幹線も高速道路にも恵まれている静岡に空港を造らなければならなかったかどうか、はやはり疑問として遺ると思われる。

 国全体としての総合的な交通計画がどうなっているかを再び問わなければならない。地方分権の強化が、このような国全体としての思考を妨げないように心すべきではなかろうか。


(2009.6.4)