この間、神奈川県内でタクシーを利用した時、この頃景気はどうかと尋ねたら、さっぱりですよ、小泉首相の規制緩和でタクシーの数が倍にも増えたせいですよと言う。規制緩和は小泉首相の旗振りのせいだという認識が行き届いているのにいささか驚きもした。
月の水揚げは五十万円かそこら、運転者の収入はその四割で二〇万円。これじゃとてもやれませんよと言う。先月、大阪で聞いた時は、もっと酷く、下手すると水揚げ月三〇万円で、その四割十二万円の収入。年金を貰っているものしか、なり手がなくなりますよと言う。
東京都内はまだいいそうであるが、それにしても乗車拒否などなくなって、利用者には良くなったが、運転者には気の毒なことになっている。
規制緩和は、かつての目に余る乗車拒否などを想起すれば、たしかに必要であったと思うが、行き過ぎた緩和に不況の波が輪をかけた形ではある。
国交省もこの事態を無視できず、規制緩和を見直す検討を始めたと言うが、当然であろう。
タクシーに限らず、何でも規制は悪いというような考え方で行なわれた改革はもう一度見直す必要があると思う。
(2009.6.8)