政府の経済財政運営の基本方針となる「骨太方針二〇〇九」の素案の全容が明らかになった。焦点の、財政健全化目標については、二十年代の初めに国・地方の債務残高のGDP(国内総生産)に対する比率を安定的に引き下げることを基本目標に設定した。基礎的財政収支の黒字化は、今まで「十一年度」としていたが、「十年以内」と先延ばしにした(六月九日、日経・朝)。

 これを政府の公約違反と責めることも自由だが、バックにある経済全体の姿は予測とは違って変化するのだから、それに対応して政策目標も変ってくるのは止む得ないところである。そこを硬直化して、変化させまいとする方に無理があると思う。今は、米国の金融不安に端を発した世界的不況から脱出することに財政支出も含めて全力を挙げることが要請されているからである。


(2009.6.8)