五月三十日浜田防衛相は、訪問先のシンガポールでゲーツ米国防長官と会談、北朝鮮を核保有国とは認めないことで見解が一致し、さらに北朝鮮が日本や韓国を武力攻撃をした場合、米国が報復をする「拡大抑止」をあらためて確認し、弾道ミサイル防衛(MD)の能力などの強化を申し合わせたと伝えられた(五月三十一日、東京新聞・朝)。

 かくだん目新しいことを話し合ったようにも思えないし、第一、北朝鮮はそんな各国の行動を嘲うかのごとく、又、弾道ミサイルの発射準備を進めていると報じられている。

 既に核を持っている国はいいが、これからは絶対ダメだよ、というのはおかしいではないか、と言わんばかりの北朝鮮の態度は、六ヶ国がより集って、何を言おうと関係ないよ、と言わんばかりの出方である。

 話合い路線を進めていた韓国前大統領を自裁で喪った韓国に対する威嚇もあると言われているが、餓死者を出すような経済事情にあると言われている北朝鮮が、いわば食うや食わずで、核装備に向けて軍拡を進める現状をほってよいとは思われない以上、せめて六ヶ国が歩調を揃えて、北朝鮮に対して強硬な申入れをし、実行を迫る以外に方法はないのではないか。

 考えてみればみるほど、北朝鮮の国民は気の毒でならないが、それは、外から見た人の意見で、恰も戦時中の日本を外から見た場合と同じかも知れない、「欲しがりません 勝つまでは」と言いながら、空爆で家を焼かれ、親兄弟を喪った日本の国民のことも改めて思い返さずにはいられない。

 三十年かかって父親が建てた家を空爆で焼かれ、自身も支那大陸で苦労した上、戦後ソ連に三年抑留されるという苦い経験を持つ私は、つくづく戦争は嫌だと思う。

 しかし、今、核を持って、いつでもミサイルに載せて打ち出せるような国を海を隔てて持っているような状態では、黙っているわけにはいかないのは当り前ではないか。

(2009.5.31)