五月三十日、ドイツ政府は、独自動車オペルへ一五億ドル(約二千億円)を融資することを決めた。親会社の米ゼネラル・モーターズ(GM)がオペルをカナダの自動車部品メーカー・マグナなどの連合に売却することが条件であるという。

 あのオペルがカナダに身売りする、ということに何やら感慨があるが、今の世界経済情勢のもとでは、そんなことは余り気にならないのであろうか。私が言うのは、企業の国籍の観点からである。

 巨大企業はとっくの昔から国境を越えて活動をしていることはわかっている積りだが、何だか次々にやすやすと企業が国際間で移動していく姿を見ると、もっぱら国内対策に拘わっているかのごとく見える日本の税制なども、思い切って見直す必要があるのではないか、と思う。

 例えば、企業が安い税制を求めて海外へ本部などを移す傾向を、単に居住、非居住の定義などをめぐってトラブルを起すような現状を打開するためには、企業が海外へ逃げ出すことを防止するように税制を改めるほうが先決問題ではないか、ということである。


(2009.5.31)