この間、ある会合で某大手百貨店の社長と隣り合わせになった。話は景気のことである。百貨店も高いものを売っているだけではダメですなァと言う。たしかに百貨店どころか、スーパーも売上げを落している。サブプライム事件以来の世界的不況の一環と観じたからといって片ずく問題ではない。

 片やユニクロで代表される大へん安い値段の商品はよく売れている。安いだけではなく、質も良くなっているし、型や色、センスも悪くない。若い男性だけではなく、女性層も狙っているというが、年輩の者も関心を深めている。

 数日前、友人と会食したら、「このシャツはどう。ユニクロのものだが、結構いいでしょ。十倍も二十倍もするものを買っていたのがバカらしくなった」とのたまう。同感である。

 しかし、これらの製品は殆んど中国など外国の安い労働力の産物であるという。売れれば売れるだけ、金は外国へ落ちて行く。

 これは何もユニクロに始まったわけではなく、車でも、何でも、とにかく外国で作ったものを日本に逆輸入してくる例が多くなっている。それで、いいのだという考え方もあるが、果してそうか。

 又、そうなったことの原因はどこにあるかを真剣に考える必要はあるだろう。税制などの国の制度も問題はないか。あれば、対策を急ぐべきではないか。

(2009.5.30)