「活況中古ビジネス」、「不況逆手」、「利便高め商機」。〇九年五月五日の日経(朝)の見出しである。

 九一年五〇〇億円を超える位だった中古品小売業の年間商品販売額が〇七年では三五〇〇億円を超えたという。

 それから二年。中古品の下取りセールは急激に拡大している。車や家具などのリサイクルは以前からある。昔からある古本屋、古道具屋などは要はリサイクル・ショップの一環であったし、質屋、質流れもその類と言えよう。

 学生の頃から神田、本郷、三田、早稲田などの古本屋街に馴染んでいた私なども古物には抵抗感はないし、長じて家庭をもってからも中古の車や家具を割と買っていた。

 ブックオフが店を始めた頃、余りに安いのでつい差当って要らない本まで買い入れたことがあったが、この商売は伸びるなと思っていたら、果して大へんな急成長で、あっと言う間に立派な企業になって了った。

 この景気である。中古品が屑ではなくて「お宝」になることがわかった消費者を一層くすぐるような商売があちこちに出来上って来た。

 中古品に対する昔はあった抵抗感がなくなったことも、中古品のリサイクルに拍車をかけている。

 考えてみれば、あの破れたジーンズを見せびらかすようにはいたり、昔々の時代ものの服を喜んで着る今は、そもそも中古品が幅を利かす世の中なのだろう。結構なことではないか。


(2009.5.24)