中国人の海外進出はまことに目覚しいものがある。とくに東南アジアにおいては、いわゆる華僑として経済力を握っている。それは、中華民国という国力を背景にした、かつての列強の植民地政策というようなものとは全く関係なく、中国人が利害をともにする国民として進出して来た故なのではないか。
中国人の元来頭の良い人種であることはあの壮大な康熙字典を編纂、刊行(一七一六年)したことででも明らかではないか。
その中国人が長い間の一子政策にも拘わらず一三億人、いや一四億人にも存在するという。日本人の十倍以上の数である。国の興亡は何といっても国民の数による。勿論質も大切であるが、中国人は智識も優れた民族である。
北京語と広東語では、津軽弁と薩摩弁以上に通じ難いと言われているが、にも拘わらず中華民国は国難を乗り越え、乗り越え一国として纏った存在を続けて行くのであろうか。