時は流れて終戦。連合国軍の駐留とともに戦後の日本が始まった。

 戦中抑えられていた芸術、文化を追い求める力が湧いて来たのは当然であって、次々に演劇団も誕生してきた。

 昭和二十七年、私が主計局の文部担当の主査をしている頃、国民劇場を作ろうという声がどこからともなく高くなって来た。

 本当は国立劇場の設立が念願であったが遍迫していた財政事情の本では言うべくして至難であることは明らかであった。