財団法人「日本漢字能力検定協会(略して漢検)」が漢字検定の手数料をかき集め、ボロ儲けした上、その儲けを理事長など役員が私用を利用したことが大問題となっている。

 細かい点を措し置くが、そもそもこういうことが平然と行なわれるようになった原因に漢字検定というようないわば公的事業を財団法人に認可したことがあると思う。

 この漢検は官の信用をバックに悪事を働らいたと見られるが、これは氷山の一角で、他にも各種の能力検定試験で本来官側が実施すべきものを、行革などの理由で、いわゆるアウト・ソーシングの形で民間に払い下げられたものが少なくない。しかも、そういうところには、関連各省庁の役人OBが必ず天下っている。

 私は、天下りが一概に悪いとはいっていない。むしろ、そもそも国が実施する方が公正、妥当で、かつ金もかからないものを、行革などの観点から人員削減の風をくらって、民間の業務とされたことに、このような不始末の原因があるのではないか、と思っている。

 国の事業なら会計検査院などの監視の目が行きとどくのに、財団法人ともなれば、どうしても赤字を出して、国に頼るようなことになりさえしなければ、まァ事業の実態に余り口嘴を入れられない、ことも今回の漢検のような野放図な失態が出て了うのである。

 どうしたらいいか。一番良いのは、民で実施するような擬態を止めて、官が直接実施することである。これに伴なって、官の定数や予算を増やさなければならないが、それでいいではないか。漢検の儲け以上のものが国庫の収入となるのではないか。


(2009.5.14)